第18回日本ストレスケア病棟研究会が開催されました。
2013.11.17
平成25年11月8日・9日、大垣市のロワジールホテル大垣において第18回日本ストレスケア病棟研究会が開催されました。

今年は当院が主幹病院として全国の会員病院の皆様をお招きし、8日には施設見学会を、9日には『ストレスケアを全国へ〜地方からの報告〜』のテーマのもと研究会を行い総勢160名のご参加を頂きました。

同研究会は2000年に発足。現在、北は北海道、南は鹿児島までの21の病院が加盟しており、年に1回会員病院が一堂に会し、研究会を開催しています。
冒頭、養南病院院長関谷道晴より「ストレスケア病棟の意義を全国的に広め、理解してもらうためには、都市部のみならずこうした地方や郡部での活動や工夫を知ってもらい、盛り上げていくことこそ肝要。そうした意味で今回のテーマとなった。」とあいさつ。
続いて同研究会副会長である福井県松原病院代表理事の松原六郎先生より「徳永先生や佐久間先生らこの会の先生方は、今や日本のうつ病治療のオピニオンリーダーですが、元々この会は他職種の研究会。皆さん一人一人がリーダーになるつもりで研鑽してください。」と開会のあいさつがなされました。

午前中のシンポジウムでは
まず院長の関谷より「地方におけるストレスケアの現状〜養南病院の場合〜」と題して、こうした地域におけるストレスケア病棟の運営の実際と課題についての発表がなされ、続いて当院看護課長の有馬新路より「当院のストレスケア病棟のあゆみ〜病棟課長の事件簿〜」と題し、ストレスケア病棟で生じやすい様々なトラブルとその根底に潜むもの、そしてこうした問題への対処についての考察がなされました。

その後、当研究会の会長である福岡県不知火病院院長、徳永雄一郎先生より「ストレスケア最近の動向について」と題する講演が行われ、うつ病の最近の動向そして入院治療の効果、またそこに潜む「攻撃性」をどう扱うかといったお話をうかがうことができました。

続いて福島県のあさかホスピタル院長、佐久間啓先生より「震災後の状況について」と題し、この研究会が「支援者の支援」にどう関わってきたか、そして震災関連死が増加している現状や被災地のストレス状況の報告がなされました。

次に当院看護部長、吉野久美子より「自殺のリスクを減らしたい〜全室個室は危険か〜」と題し、当院における自殺の事例を分析し、その傾向を把握することによって、自殺を減らすことは可能であるという発表がなされました。

続いて当院作業療法課長、林昌吾より「気分障害の患者に対する心理教育の試み」と題し当院の心理教育プログラム立ち上げの実際と、その概要、有効性についてチーム医療の視点から考察した発表がなされました。

午前の最後には当院デイケア課係長、平田亮男より「田舎のリワーク〜SMAPデビュー〜」と題し、もっぱら都市部で行われることの多いリワークプログラムを、この地域で行う上での工夫や、課題が発表されました。

昼休みの時間を利用したポスター発表もあり、
@当院看護部から「ストレスケア病棟での患者ニーズの変化と治療介入について」
A薬剤部から「ストレスケア病棟における薬剤師の役割」
B心理課から「養南病院における臨床心理士の現状と課題」
と、3つのポスターが掲示され多くの参加者から質問を頂きました。

午後には当研究会の精神保健福祉士部会から「活動および研究報告」として、復職支援の標準化や自殺対策など現在部会が研究しているテーマに関する報告をしていただきました。

その後に行われた分科会では養南病院診療部長の宮原陽一より治療に難渋する症例が提示され、これを診断、治療、チーム医療などのテーマに沿って、全員が10のグループに分かれ活発な討議がなされました。

研究会のあとは、懇親会が催され、終始なごやかなムードの中、会員病院同士の情報交換や意見交換がおこなわれ、最後には実行委員長の宮嶋佳苗医長からお礼のあいさつがなされ、無事会を終了することができました。

会員病院の皆様におかれましては多数のご参加、ご協力を頂きまことにありがとうございました。来年は大阪でお会いしましょう。
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日本ストレスケア病棟研究会 会長                     不知火病院 院長 徳永雄一郎先生
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養南病院 院長 関谷道晴
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研究会の様子